日記

もう年はとれない(著:ダニエル・フリードマン)

2015.12.14

世の中は消耗しきった人間でいっぱいだ。(中略)だれもかれもがぐだぐだと考えている。とりかえしのつかないあやまち、逃したチャンス、しくじった好機について。
P25

著者と、その周りの人間のリアルで重みのある経験などがこの本のストーリーとキャラクターに大きな影響を与えているせいか、作中ではやけに含蓄のあるような、達観した言い回しが随所にみられます。
現役を退いて久しい元刑事が、刑事になる以前の過去の因縁にケリをつける…警察小説とは言いがたい感じですが、いい感じに読みやすいミステリーに仕上がっていると思います。

午前三時に電話が鳴った。
午前三時にわたしに電話してくる者はいない。午前三時にわたしは電話しない。人がやっていいことではない。なにが起きたのだろうと、知ったことか。
P115

テレビ東京の番組『サタシネ』で2週連続『コクーン』、『コクーン2』を放映していたせいか、いつかはやってくる老いというものについて多少なりとも考えたりします。
今現在おおむね若者風情といった私でも、生きていく上で煩わしさや億劫に思うことに遭遇することはあります。老いというものがその億劫さを多く、大きくしていくとしたら、その不安を意味のないものと切り捨てるのは難しいでしょう。

ともかく、内容としては大きな後悔と少しの懐古、場当たり的な衝動でグイグイ進んでいきますので、あまり複雑なロジックがなくわかりやすいものになっています。
疑問点があるとしたら、いくつかの説明されない点と、主人公の孫が犯した失態のツケの精算方法でしょうか。結果的には解決しましたが、そうならなかった場合……。

シニア・ノワール。擦れっ枯らしで苦みばしった、老いてもなおハードボイルドを体現する主人公の、味のあるキャラクターが魅力です。

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