クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い(著:西尾維新)
2015.10.14
アスタリスクの2巻を続けて読むのもあれなので、言わずと知れた西尾維新先生のデビュー作を読んでみました。
私はあまり推理小説なるものを読んだことがないので、足りない知識から近いものを挙げるとするならば『そして誰もいなくなった』でしょうか(違うって言われそうですけど)…古典的な閉鎖・密室モノになるんじゃないかと思います。
関係無いですが、上に挙げたアガサ・クリスティーの新訳、非常に無粋な前説のおかげで読んでいて興が削がれたのであまりオススメしません。あんな解説付けるんだったらナウい現代語に訳さなくてもいいじゃんって感じです。
そんなわけで、作中で使われているトリックは複雑怪奇というわけでもなく、お約束的な展開を見せますので、推理自体にはそれほど意味は無いのかもしれません。
私はやはり西尾先生といえば騙し合いや駆け引きなどのキャラクター同士の掛け合いが醍醐味だと思うのですが、本作でももちろん、その筆致・構成力が遺憾なく発揮されており、西尾維新の西尾維新たる所以はデビューの時から変わらないものだなと思いました。
そういったところで舞台装置としての凡百なトリックも、読者を心理的に誘導するための手段の一つなのかな?と思ったりもします。あんまり難しいことは分かりませんけれども。
メディアミックスのお陰でウケのいい『化物語』や、気づいたら凄いシリーズになってた『悲鳴伝』、そして本作品もですが、登場人物の偏屈さは相当なものがあり、あまり共感出来ません。
共感できないからなんだよって気もしますが…読者は常に西尾作品という檻の外から彼ら珍獣を眺めることができる、そんなところが魅力だと思います。戯言だけどね。