日記

Re:ゼロから始める異世界生活5・6(著:長月達平)

2016.04.13

ときに、主人公に限らず、登場人物は愚かに、無様に、惨めな醜態を晒さねばならない時があります。大きすぎる壁にぶち当たるとき、浅慮故に失望されるとき、絶望に膝を屈するとき…。
4巻で身も心も打ちのめされた主人公ナツキ・スバルは、再びやってきた死に戻りのループによっておそよ這い上がることも叶わぬような歪んだ狂気の奈落へと堕ちていきます。

ひょっとして、みんなの方こそループしているんじゃないのか?
6巻P252

秀逸な地の文には主人公が陥ってしまった支離滅裂で自分本位な精神状態を表す単語がこれでもかというほど散りばめられ、それに呼応するようなスバルの台詞もまた、正常を外れた、愚劣極まりないものであることを読者は幾度も認識するでしょう。

正直、ここまで貶められる主人公というのも珍しいんじゃないかと思いますが、どうやっても死に戻りを明かすことの出来ない残酷な設定がもたらす孤独と寂寥が、この物語の原動力となっているように思えてなりません。
なるほど、これをネットで読んだ日には話題になるのも頷ける気がします。

能力もない、奇跡も起きない、あるのは主人公へ迫る悲劇のみ。
それらが徹底されているからこそ、巻き返しの機運、その兆しが見えたときのカタルシスが一層際立つのだと思います。

今だにレムちゃんラムちゃんの姉妹関係が一瞬あやふやになりますが、そこは許してください。

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