武装中学生2045 -夏-(著:岡本タクヤ)
ここからはしばらく、積んでいたものを消化していきたいと思います。
概ね面白い続き物を読んでいると、どうしても積んでいるものを無視して最新刊を買いに走ってしまうので、たとえいい掘り出し物があったとしても、我慢してひたすら家にあるものを読んでいきたい…です。
この作品はいわゆる、近未来ミリタリーモノという感じでしょうか。
2045と題されているのは、本編である『武装中学生』のスピンオフという位置づけのためのようです。
題名に年号が入っていると、ロマンを感じませんか?
『19XX』『STRIKERS1945』『G-STREAM G2020』『サイキックフォース2012』…なんかアーケードゲームしか知りませんね…。
小説では『1Q84』とか…?考えてみるとあまり思いつきませんでした。
多くの作品では時代設定が現実とリンクしていたり、重要な伏線であったりするわけですが、本作では元の作品の20年後という意味以外はあまりなさそうです。
本作では『国防教育法』が2022年に成立したとあります。
実際にどのような法律なのか、どういった運用がされているのかは作中からは判然としませんが、これを手にどこぞの国と争いを起こした、介入したとはなっていないようなので、平和を維持するために国防を担う人材を育成しようという法なのかもしれません。
物語のテンポはあまり良くないです。芝居がかった(これは意図したものでしょう)長いセリフ回しと、時代背景を細かく説明する地の文によって展開されていくため、内容のわりに物語が進んだ感じがしません。
不殺の誓いというわけでもないですけど、あんまりスカッとする展開でもなく、敵もそこまで悪いかって言われるとそうでもないような気もするので、カタルシスは余り感じられないでしょう。
主人公たちの戦いに対する精神面での成長に主眼が置かれている印象でした。
ただ、文章は読みやすく、とくに論理の破綻が見られたりもしないので、読んでて苦になることはないかと思います。