最強魔法師の隠遁計画1(著:イズシロ)
2017.03.20
よくもまあ、こんな金太郎あめみたいに代わり映えのしないジャンルの本を読めるなと自分でもビックリです。
最強の名に偽りなき主人公が未熟な同級生や後輩の成長を促しながら退役後の生活を謳歌する……と、ほぼタイトルから予想されるような内容です。
魔法や魔獣など、ファンタジー世界でありながら電気や液晶、ホログラムという単語が出てくるなど、表現は現代的です。貴族という身分もあるようですが、あまり重要な要素ではなさそうです。
魔法という概念、登場人物たちの描写は非常に丁寧で、世界観は良く出来ています。
よく出来ていますが、冗長なため物語の進行が非常に遅いです。そのため、この巻では大きな動きはありません。
また、主人公とヒロインたちの間には大きな経験の差があるためか、文章や掛け合いを通してだとあまり魅力を感じることが出来ませんでした。
これはキャラクター付けの問題かもしれません。テスフィアとアリスには明確な性格の違いがありますが、短い台詞や感嘆を表す文字だけだと、どちらの動きなのか読めないことがよくありました。
同じなろう系ということで、心理描写の冗長性や掛け合いの拙さが『魔法科高校の劣等生』の1巻あたりとすごく似ていると感じたのですが、どうなんでしょうね。
とりあえず、
結局、唖然とした顔を浮かべたその場の全員が中断していた試験のことを思い出すまでは、理事長に一纏めにされた黒煙が、すべて外へ追いやられるまでかかった。
P.216
というような難しい記述はなんとかしてほしいなと思いました。