ゼロから始める魔法の書(著:虎走かける)
2017.04.02
第20回電撃小説大賞、大賞作品です。存在は前から知っていましたが、なんていうか、タイトルとか表紙を見ると、別にいいかなって……。
でも、春にアニメ化するということで一応手にとってみました。
獣堕ち、と呼ばれる半人半獣の主人公が世間知らずの魔女と出会うお話です。
世界観や登場するキャラクターたち、魔法という設定、非常によくできていると思います。面白いです。
面白いんですけど、勧善懲悪が曖昧であり、起こった物事に対する責任の所在も不明瞭です。
まあ、技術が悪いことに利用されるか良いことに利用されるかは、その人次第というところなんでしょう。
基本、主人公の主観で物語が語られていくため、他のキャラクターの内面が読みづらいのですが、そういったモヤっとする人間関係が一つの魅力でしょう。
強いわりに小心者の主人公の内面についてもよく描写できていると思います。
物語は二転三転と目まぐるしく急転していくわけですが、オチはしっかりしていて、主人公とゼロの旅の目的も出来て……といように上手いことまとまっているのは素晴らしいことです。