学戦都市アスタリスク 03.鳳凰乱武(著:三屋咲ゆう)
このサイトを作って、テキトーに本の感想を書いていて思ったのですが、シリーズ物の長編作品について一冊ずつ感想を書くのは結構大変です。
書くことがありません。ほとんど。
いや、アスタリスクの内容が薄いとかそういうことではありません。面白いですよ!アニメも絶賛放送中です。
でも、基本的にネタバレを避けようとすると、書くことがありません。
文学に対する批評というと、文体にみられる傾向だとか作劇の技法だとか、内容へのツッコミを入れたり色々ありそうですが、文系に明るくない私では、あまり深いところまで論じる素養がありません。
面白い!と思っていると粗も気にならなくなってしまうので、難しいところです。
そんなわけで、最近読書をサボっていたら、アスタリスクのアニメがいい感じで追い付いてきたので読みました。3巻です。
新キャラの追加もほどほどに、作中の一大イベントの一つである《鳳凰星武祭》が始まります。各学校の序列上位がこぞって出場するかとおもいきや、そうでもない印象です。試合形式に対する得手不得手があるんでしょうか。
主人公の綾斗たちも順調に勝ち進みますが、神速を誇る彼を縛る制限が公のものとなります。
ウルトラマンだってたまには時限を超えて戦わなくてはならない(実はよく知りませんが……)時があるように、主人公も成長の時…という感じでしょうか。
続巻も期待できると思います。
英雄教室2(著:新木伸)
正直、一巻の内容は殆ど覚えていないのですが、あまり問題はありませんでした。
元”勇者”だった主人公が一般人として英雄を養成する学校で”トモダチ”と共に生活するお話です。
こんなにシュールだったっけ?というくらい、展開というかお話の内容がシュールです。最近のアニメでたとえるなら「スペースダンディ」と言ったところでしょうか…。オリジナルアニメーションにみられる、本筋とはあまり関係ない、お遊び回などと雰囲気が似ていると思います。
ヒロインは大食家と化し、5歳と言われた主人公の精神年齢の低下に拍車がかかり、同じく5歳の魔王の娘がトモダチに加わる…カオスです。
国王が主導する教育という名の実戦も過酷なものになっており、物語はより広がっているようなそうでもないような、よくわからない感じでお話は進みます。
そんな、莫大なコストがかかるような教育を施して辿り着く先になにがあるのか、この先はそんなところに期待が持てると思います。
あと、おっぱい最高。
学戦都市アスタリスク 02.銀綺覚醒(著:三屋咲ゆう)
2巻です。内外のイベントを順調に消化しつつ、表紙にも描かれている年下のキャラクターをハーレムに加える、そんなお話です。
既視感の強い展開やキャラクターなど、特に真新しい点は皆無と言っても過言ではありませんが、読者の”なにか”を想起させるライトノベル的手法がまあまあ効いていて、結構面白いです。
次巻のカタルシスにも期待しつつ。
クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い(著:西尾維新)
アスタリスクの2巻を続けて読むのもあれなので、言わずと知れた西尾維新先生のデビュー作を読んでみました。
私はあまり推理小説なるものを読んだことがないので、足りない知識から近いものを挙げるとするならば『そして誰もいなくなった』でしょうか(違うって言われそうですけど)…古典的な閉鎖・密室モノになるんじゃないかと思います。
関係無いですが、上に挙げたアガサ・クリスティーの新訳、非常に無粋な前説のおかげで読んでいて興が削がれたのであまりオススメしません。あんな解説付けるんだったらナウい現代語に訳さなくてもいいじゃんって感じです。
そんなわけで、作中で使われているトリックは複雑怪奇というわけでもなく、お約束的な展開を見せますので、推理自体にはそれほど意味は無いのかもしれません。
私はやはり西尾先生といえば騙し合いや駆け引きなどのキャラクター同士の掛け合いが醍醐味だと思うのですが、本作でももちろん、その筆致・構成力が遺憾なく発揮されており、西尾維新の西尾維新たる所以はデビューの時から変わらないものだなと思いました。
そういったところで舞台装置としての凡百なトリックも、読者を心理的に誘導するための手段の一つなのかな?と思ったりもします。あんまり難しいことは分かりませんけれども。
メディアミックスのお陰でウケのいい『化物語』や、気づいたら凄いシリーズになってた『悲鳴伝』、そして本作品もですが、登場人物の偏屈さは相当なものがあり、あまり共感出来ません。
共感できないからなんだよって気もしますが…読者は常に西尾作品という檻の外から彼ら珍獣を眺めることができる、そんなところが魅力だと思います。戯言だけどね。
学戦都市アスタリスク 01.姫焔邂逅(著:三屋咲ゆう)
10月より放送が開始されたアニメの原作小説になります。
1話を観た限りだと、「まーたテンプレラノベアニメか」とか「なんか綴りそうな主人公だな」などと思ったものですが、まさか本棚に原作一巻が眠っているとは思いませんでした…。
購入した記憶は全くないのですが、「最高峰の学園バトルエンタメ」だの「これぞ“疾走するカタルシス”!」といったキャッチコピーに騙されたのかもしれません。
とは言え、なかなかどうして面白かったです。
用語があまり頭に入ってこない感じがしますが、「ルークス」くらいは覚えておくと読みやすくなると思います。
設定も展開も、王道をなぞっている印象です。
新人類の登場と権力機構の変化、舞台となる都市の機能、主人公とヒロインの邂逅、主人公や周囲を取り巻く力と謎――。
疾走するカタルシスに偽りなし、と言ったところでしょうか。
そこそこ続きが気になる終わり方でしたので、次の巻も買ってみようかと思います。