日記

ゼロから始める魔法の書(著:虎走かける)

2017.04.02

第20回電撃小説大賞、大賞作品です。存在は前から知っていましたが、なんていうか、タイトルとか表紙を見ると、別にいいかなって……。
でも、春にアニメ化するということで一応手にとってみました。

獣堕ち、と呼ばれる半人半獣の主人公が世間知らずの魔女と出会うお話です。

世界観や登場するキャラクターたち、魔法という設定、非常によくできていると思います。面白いです。

面白いんですけど、勧善懲悪が曖昧であり、起こった物事に対する責任の所在も不明瞭です。
まあ、技術が悪いことに利用されるか良いことに利用されるかは、その人次第というところなんでしょう。

基本、主人公の主観で物語が語られていくため、他のキャラクターの内面が読みづらいのですが、そういったモヤっとする人間関係が一つの魅力でしょう。
強いわりに小心者の主人公の内面についてもよく描写できていると思います。

物語は二転三転と目まぐるしく急転していくわけですが、オチはしっかりしていて、主人公とゼロの旅の目的も出来て……といように上手いことまとまっているのは素晴らしいことです。

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ワールド・ティーチャー異世界式教育エージェント5(著:ネコ光一)

2017.04.01

表紙にも描いてあるエルフが久々に登場しますが、故郷を出奔するというだけで紙面では小さい扱いなのでちょっとがっかりでした。

学園を卒業した主人公一行が特注の特殊な馬車を引く馬……というか狼を仲間にしたり、縁を切った実の親と異母兄弟をこらしめたり、かつての従者たちを訪ねたりするお話です。

主人公と敵対する人たちの徹底的な愚かしさや、恋愛事情がまったく進展しないところなど4巻とほぼ変わりありません。

エルフと再び出会うところくらいまでは読もうかと思っています。

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ワールド・ティーチャー異世界式教育エージェント4(著:ネコ光一)

2017.03.30

ちょっと間が開いてしまいましたが、5巻も合わせて買いました。

主人公たちを見下し、ちょっかいをかけていた関係者たちを一掃しつつ、学園を卒業するお話です。

弟子との恋愛関係などが気になるところですが、この巻でも特に波風は立たず、ひとまず保留となってるようです。

敵があまりにも愚かすぎたり、説教臭い話ではありますが、安心して読むことができるのはいいことだと思います。

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奴隷エルフちゃんを英雄にプロデュースします!崖っぷちから始める世界寿命の延ばし方(著:秋月煌介)

2017.03.28

買ってからさあ読もうと表紙を眺めていて気付いたのですが、こんなタイトルの本を手に取っちゃう時点で「ワタクシこういう性癖でございます」と喧伝しているようなものじゃないか? と思いました。
しかし、えらい直球なタイトルというかなんというか……。

内容は、英雄と呼ばれる特殊な人間でないと倒せないような獣が跋扈する世界で余命幾許かの主人公が奴隷のエルフちゃんを次期英雄として買い取るお話です。

一応弟子という形でエルフのフィオちゃんを奴隷から救い出すのですが、主人公の余命が短すぎて性急にお話が進んでいくせいか、成長物語というよりはある時をきっかけに覚醒するといった向きの展開です。

魔術を行使するときに魔力を吸い込むのですが、その時に獣の瘴気も一緒に吸い込んでしまうため、英雄は短命……という設定が分かりやすくて個人的にかなり好みです。

この巻はStep1となっていて、続きもあるようですが、区切り良く終わっているのでスッキリと読むことができると思います。

ところで、帯には『公式ニコ生のユーザー投票によって選ばれたカバーイラストを正式採用!』とあるのですが、正直言うと一番得票の低かった(10.8%)イラストが一番好みだと思いました。私ってズレてるんでしょうか。

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86―エイティシックス―(著:安里アサト)

2017.03.27

今年もCMやってたので買いました。電撃小説大賞、大賞受賞作品です。

他国との戦争状態にある共和国内では、戦死者ゼロの戦時報道が繰り返され……実のところ、劣等種として人権を剥奪し徴用した元共和国民を戦車(多脚機甲兵器的な?)に搭乗させ、『無人機』として戦場に駆り出す歪みに歪んだ世界での少年少女の物語です。

さすが大賞、と思わせるほどには面白いです。

あとがきにもあるように、戦時下の人種差別政策やジェノサイドとともとれる描写にはかの国での歴史を相当意識したように思われますが、それら悲劇を徹底して導入したことにより作品の持つ世界観は醜悪で愚かしい物として完成されているように感じます。

そんな絶望の中でも前へ前へと進もうとする少年少女の有り様は劇中の唯一の希望として大きな存在感を示しています。

色々と書ききれていない部分があるような気もしますが、ラストが非常にスッキリしているのがこの作品の素晴らしいところだと思います。

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