三つの塔の物語(著:赤雪トナ)
表紙のイサラちゃんが超かわいい一冊。しかも剣一本の戦士タイプ。著者は分かってる。
装いは純ファンタジーといった趣ですが、内容は『このすば』や『ダンまち』などにみられるゲーム的な設定で、塔と呼ばれるダンジョンを攻略していくもののようです。
神々によって貨幣の存在が担保されている設定なのは面白いなと思いました。
ただ、神というものがゲームマスター過ぎるというか、ずいぶん仕事をするなあと。
でもまあ、公平なのはいいことです。
学戦都市アスタリスク 06.懐国凱戦(著:三屋咲ゆう)
気付けばアニメ二期も順調にストーリーを消化し、追い付いてきそうな気配がありましたので読みました。
ユリスの実家へご挨拶…もほどほどに、意外とストーリーは進んだ印象です。
ここまでくると、結構キャラクターも増えてきて、私みたいにゆる~く読んでいると誰だっけ?ってなったりならなかったり。
当初思っていたよりはなかなか終わりそうにないコンテンツだなあと思いました。
Re:ゼロから始める異世界生活7・8(著:長月達平)
なんだか最近、完結したライトノベルを読んでないな…ということに気が付きました。
もしかしたら他にもあるのかもしれませんが、覚えている完結作品は『剣の女王と烙印の仔』でしょうか。読んだの何年前だよ…ってレベルなのですが、これはマンガや一般小説(?)にも言えるので、私の買い方というか、コンテンツの消費のしかたの問題なのかもしれません。
さて、8巻まで来てしまったわけですが…この巻でも一連の騒動は終結しません!続きは9巻で!みたいな。
大罪司教の恐るべき魔の手によってまたも死に戻りのループに落とされそうな展開であります。
ちょっと続きが気になったのでWeb版をチラッと4時間ほど眺めたのですが、内容は結構違うものなんですね。
というか、これ終わるの?って思っちゃいました。MF文庫版、既刊30巻とかいっちゃっても不思議じゃありません。
読んでいると話が進んでいない感じがあまりしないのですが、実際は思ったほど進んでいないということに驚きます。そこはループモノの特徴でもあるわけですが、それにしたってこの歩みの遅さです。
おまけにキャラクターの掘り下げ?というか謎の解明が遅々として進まないのにもその一端があると思います。8巻まで読んでもエミリアたんの詳細な過去は明かされません(レム・ラムの過去は明かされてはいるものの、足りない部分がありそうです)。
とりあえず著者は謎の掲示と解決のバランスの取り方がうまいということですかね。
続きは…ここまでの内容を覚えていたらということで。
Re:ゼロから始める異世界生活5・6(著:長月達平)
ときに、主人公に限らず、登場人物は愚かに、無様に、惨めな醜態を晒さねばならない時があります。大きすぎる壁にぶち当たるとき、浅慮故に失望されるとき、絶望に膝を屈するとき…。
4巻で身も心も打ちのめされた主人公ナツキ・スバルは、再びやってきた死に戻りのループによっておそよ這い上がることも叶わぬような歪んだ狂気の奈落へと堕ちていきます。
ひょっとして、みんなの方こそループしているんじゃないのか?
6巻P252
秀逸な地の文には主人公が陥ってしまった支離滅裂で自分本位な精神状態を表す単語がこれでもかというほど散りばめられ、それに呼応するようなスバルの台詞もまた、正常を外れた、愚劣極まりないものであることを読者は幾度も認識するでしょう。
正直、ここまで貶められる主人公というのも珍しいんじゃないかと思いますが、どうやっても死に戻りを明かすことの出来ない残酷な設定がもたらす孤独と寂寥が、この物語の原動力となっているように思えてなりません。
なるほど、これをネットで読んだ日には話題になるのも頷ける気がします。
能力もない、奇跡も起きない、あるのは主人公へ迫る悲劇のみ。
それらが徹底されているからこそ、巻き返しの機運、その兆しが見えたときのカタルシスが一層際立つのだと思います。
今だにレムちゃんラムちゃんの姉妹関係が一瞬あやふやになりますが、そこは許してください。
Re:ゼロから始める異世界生活4(著:長月達平)
物語の主人公が主人公たる所以は、状況を切り抜け、収め、いかに都合のいい方向へ導いていくのかかが鍵だと思うわけですが、なにをやったってうまくいかないこともあります。
この作品にしてみると、主人公の存在意義というものは世界に対してあまり大きくはないような気がします。
もちろん、前巻で悲劇を回避し、彼を取り巻く人々に与えた影響というのは小さくありません。
小さくはありませんが、本懐を遂げるにあたって超えなければいけない壁、そびえ立つ高みというものは果てしなく遠いことを実感させられる…そんなお話です。
繰り返される運命という大きな渦に巻き込まれていながら、それを繰り返すほど、孤独になり、大切な人との距離が離れていく…そうして打ちのめされても、傷ついても立ち上がるさまは一方でより主人公的と言えると思いますが、それにしたって主人公のフルボッコぶりには凄まじいものがあります。
本文を読んでいると、前巻とこの巻の間にはどうも語られていない物語があるようですが、それは先のお楽しみというところでしょうか。