魔法学園〈エステリオ〉の管理人 ~最強勇者だった俺の美少女コーチングライフ~(原雷火)
1巻には巻数の表記がなく、2巻にはあります。
大体読めば分かるかと思うのですが、上下巻構成となっています。
かつて勇者だった主人公が落ちこぼれクラスの女の子たちを――って、親切にもタイトルに書いてありますね。説明不要の教師モノです。
一応転生主人公なのですが、読んだ限りではピザなどの新しい文化をもたらしたり、主人公が勇者として成長する助けになった、という以上の関わりはなさそうです。
主人公が持ち込んだ文化が浸透したおかげで剣と魔法の世界をより読者に理解しやすい形にできるということでしょうか。
設定も展開も平易で読みやすく、ヒロインの成長過程も丁寧に描写されています。
読んでいると、ところどころの描写になんとなく『ときメモ』のようなアドベンチャーゲームをプレイしているよな印象を受けます。
ただ、地の文の描写と台詞の前後が逆になっている箇所が多く、多少の読みづらさはあると思います。
特に続きがあるような記述はないのですが、第1部完とあるので、まだ先はあるのでしょう。
祓魔学園の背教者 ―祭壇の聖女―(著:三河ごーすと)
一ヶ月以上、一冊も本を読んでいませんでしたが、久しぶりに積み本を消化しました。
なんと言えばいいんでしょうか、ワケあり主人公とワケありヒロインが頑張る…『異端モノ』とでも呼びましょうか。
祓魔師は契約精霊を呼び出して悪魔契約者と戦う聖職者、とありますが、こういったお話のご多分に漏れず、その実態は誰かの犠牲によって成り立っているというのが物語の重要な要素です。
展開も設定もわかりやすく、読みやすいとは思うのですが、若干の都合の良さは否めないかなと思いました。
主人公はどちらかと言うと一匹狼で、人の考えていることなど気にせずズケズケとモノを言う性格…巷の主人公属性に溢れるところのデリカシー皆無マンなわけなのですが、こういった性格の主人公って、実際読者受けするものなんでしょうか?
正直、友達にはなれそうにないタイプなのですが、需要があるのか、物語を進める上で欠かせない要素なのか、なにかしらの理由はあるんでしょう。
とりあえず私もミトラちゃんを教祖様として毎日拝めるのなら入信するのもやむなしといったところです。
神眼の勇者(2)(著:ファースト)
特に感想らしい感想もないんですけど、1巻に続いて、かなりいろいろな要素が詰め込まれています。
ご都合もバッチリ満載です。
主人公は晴れて女神の使徒となり、前任の司祭の不祥事で寂れてしまった教会を立て直すために、美人奴隷姉妹ともどもアイドル活動なんてプロデュースするのですが…しかし、主人公のイチモツをシゴイた手で握手会とは、なかなか世の中ってものはままならないものだなあと思うわけです。
正直この巻で終わりかな? なんて思っていたのですが、1巻同様、引きはとてもいいんですよね。
まあ、文章がメチャメチャでもそれなりに読めるものではあります。
転生少女の履歴書2(著:唐澤和希)
近頃は面白い作品がない! なんて嘘ですよ。ありますよちゃんと。
新境地の開拓を恐れて似たような作品ばっかり買ってるから、そんな錯覚に陥るのです。
昔は~、なんて言ったところで、当時を知っているわけはありませんから、タダのニワカの戯れ言です。
新刊が出てわりとすぐに買っていたのですが、楽しみは後に取っておく派なのでしばらく積んでおりました。
1巻では東奔西走と波乱万丈の人生でしたが、2巻では主に学園生活がメインのため、そこまで忙しい感じではありません。
上流社会との齟齬からか、なかなか友人が増えない主人公が頑張るお話です。
結局のところ、主人公スゲー、主人公ツエーにもっていくのがこのテの作品の王道なわけですが、愛情に疎い主人公の少しズレた解釈とマトモなツッコミによって展開される地の文のおかげでストレス無く読み進めることができます。
この巻で入学から進級までお話が進むのですが、内容が薄いというわけでもなく、バランスはよく取れていると思います。
それにしても、魔法で縫製した服は魔法で脱がせることが出来るって、とても素晴らしい設定の有効利用ですね。
いえ、べつに邪な気持ちで本を読んだりしませんよ。ただ、ちょっとえっちだなあって、そう思うだけです。
R.O.D(著:倉田英之)
誰が読んでいるのかもわからない本の感想を書いてもなんとも思いませんが、こういった実績のある作品ではなにを書けばいいんだろうなあと考えてしまいます。
新装カバーのような大判の帯には新作アニメ化企画とあったので、思わず手にとってしまいました。
アニメは観たような記憶がありますが、活字で読むのは初めてです。
とにかく、『紙使い』という設定が素晴らしいです。
映像でもそうでしたが、数ある能力バトルのなかでも群を抜いてロマンのある能力だと思います。
ラストバトルなんかは少し都合がいいかな?なんて思ったりもしますが、そういうことが言いたいのではありません。
この作品が刊行された2000年に比べたら流通する作品は増えているのに、面白い作品がいっこうに増えていない!と思ってしまうのは贅沢なんでしょうか。
そもそも、なんども読み返したいと思った作品なんて数えるほどしかありませんが、それでも、この本のような一定以上のクオリティの作品が市場に溢れてくれたらなんて幸せなことなんだろうと思うわけです。
自分の字を読むスピードにすら焦らされているように感じてしまうほどの血湧き肉躍る物語、そんなものがたくさんあれば、世の中の煩わしさなんて小さいことに思えるのではないか…そんなことをいつも考えるのです。
粗製濫造してもいいし、似たようなもので玉石混交してもいいのですが、流行りに乗るとか、Webで実績があるからってすーぐ書籍化する前に、よく考えてほしいものです。
…なんて偉そうなこと書きましたけど、結局著者の才能とか読み手の趣味が全てですよね。
でも、もうちょっとまともに読める作品が増えてくれると嬉しいなあって。