異世界詐欺師のなんちゃって経営術(著:宮地拓海)
はい、以前新しく買った本です。新しい本を買って、積んでいる本を読めば、その買った本も積んだということになりますよね? つまり自らの発言とは矛盾しないと私は信じております……
そんな我ながらよくわからない理屈よりも、しっかしとした詐欺師の経歴を持つ主人公の異世界転生物語、それが本作です。
TVCMでよく見るタイトルだったので、知っている人も多いかもしれません(こうやって実際買っちゃうんだから、宣伝というものは馬鹿にできませんね)。
嘘をつくとカエルに姿を変えられてしまうことや、会話の言質を完全に証明できる…という設定は面白いのですが、ちょっと強力過ぎる気もします。ただ、そうした設定の中で日本円の価値が認められているのはかなり斬新なのではないかと思いました。
基本的には悪党の主人公ですが、悪党を倒すのもまた悪党…ということで、クロサギを彷彿とさせるような展開で、お人好しのヒロインを手助けしていきます。
コメディとシリアスのバランスが良くとれていると感じますが、お話の進みが少し遅いように感じました。
とはいえ、騙し合いの論理は明確で読みやすく、続きが気になる作品でした。
あと、やっぱりパイオツのカイデー度は重要ですよね。著者は分かってる。超わかってる。
名探偵は推理しない(著:村田治)
果たしてこの作品を手にとった時の心境は如何ほどなものかと考えますが、今になってみると、タイトルと表紙を見れば、王道を少し斜にみた作品だということが分かるかと思います。
ヒロインの譲葉恋深は超能力じみた直感で推理せずとも事件を解決できる…とあるのですが、それが本当に異能力なのか現実的な才能なのかは、この巻ではよく分かりません。
言うほどズバズバ色々なことが分かるわけではないみたいなので、そんなに都合のいいものでもないようです。
正直前半は退屈です。
だいたい数ページ読んでキャラクターを把握すれば、概ね予想された掛け合いが続きます。
そういった予想されやすい展開の後にはどんでん返しも待っていますし、謎が紐解かれていく面白さもあります。
後半は相対的に盛り上がっていきますし、私みたいに鈍感だと気づかないようなトリックがあったりして感心するわけですが、じゃあ続きを読みたいかって言われると…。
前半が退屈なことを除けば、文章も平易で読みやすく、悪くない作品だと思います。ただ、あまり救いのないお話です。
嫌われ家庭教師のチート魔術講座 魔術師のディプロマ(著:延野正行)
積んだ本を読むと誓ったあの日の言葉はどこへやら、ついに新刊を買ってしまいました。
しかも、タイトルを読めば内容の7割位が予想できそうな作品をまた、手にとってしまったわけです。ちなみに4冊買ったのであと3冊あります。
ところで最近、本を売り払っています。せっかく買った本を売るというのは非常に心苦しいのですが、棚がいっぱいの状態では仕方ありません。
自転車のカゴを軋ませつつ、かれこれ100冊ほど売ったのですが、まったく棚から減った気がしません。それだけ多くの本を買ってきたのだと自分でも驚くのですが、中には表紙も中身もまったく覚えのないものがあったりして、自分のテキトーさ加減に呆れもします。
本を売ってわかったのは、アニメ化がされて、現在放送中の作品ほど高く売れているということです。
買取価格設定は単に需要供給のバランスを鑑みた結果なんだろうと推測しますが、例えば『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』が一冊200円で売れたのには驚きです。
とにかく、本を整理していて、もう一度読んで感想書いてもいいかな…というものもいくつかあったので(いつになるかは分かりませんが)紹介できればと思います。
本作はほとんどタイトルにある通りの作品です。
魔術界では嫌われ者の主人公が、凋落し解体寸前の家に生まれた美少女三姉妹を助ける、そんなお話です。
甘味みきひろ先生の挿絵も超かわいくて最高です。
この絵のキャラを想像しながら読むわけですから、やはりライトノベルにおける絵の重要性を認識せずにはいられません(なにがとはいいませんが、空戦とか天鏡とか、アニメにも同じことが言えますよね?)。
読みやすくてとてもいい作品でした。
悪に堕ちたら美少女まみれで大勝利!!(著:岡沢六十四)
なにを思ったらこんなタイトルの作品を手に取ってしまうのか、気が付けば家に置いてあるんですから恐ろしいものです。
とはいえ、予想以上に楽しい作品でした。
主人公は無能力者として努力を重ね、正義の組織に入ろうとするも叶わず、挫折しかけたところを同学年の団長率いる悪の組織に入団、勢力を拡大していく…そんなお話です。
やたら女性としての機能性や意義にこだわりのある団員たち、主人公に愛情を押し付ける姉など、極端に偏ったキャラクターが多いのですが、コメディありシリアスありの展開の中でよく活かされていると思います。
ただ展開は雑というか、一巻にしてやたらインフレするので、この先どうなるんだろうと逆に気になるところです。
とはいえ、癖のあるキャラクターに振り回されつつ”謹厳実直な悪人を目指す”主人公の冷静でマトモなツッコミのお陰で楽に読める文章はとてもグッドです。
タイトルのわりに真面目な主人公という、思っていたのとかなり違う内容でしたが、とてもいい作品だと思います。
オズのダイヤ使い(著:末羽瑛)
タイトルは『オズの魔法使い』のパロディかと思われますが、内容はあまり関係なさそうです。
タイトルからはまったく想像出来ませんでしたが、砂塵舞う荒野を駆けるような泥臭いロボットバトルモノです。
主人公の旅の目的、出会った人々との関係、世界を支える宝石、そうしたものがうまく組み合わさり、世界観は良く出来ていると思います。
展開も早く読み進めやすいです。
ただ、お話の都合が良すぎるためか、先の展開がある程度予想出来てしまうのと、登場人物の多さのわりに狭い世界だなという印象を受けました。
1巻である程度完結させるためには仕方がないのかもしれません。
宝石に人格が宿るという設定は、アンドロイドが人格を有するための理由としてとても素晴らしい考えじゃないかと思ったのですが、一方で宝石に人格が宿る条件は曖昧というか、複数の宝石に分割で宿ったり、もう一人の人格を追加してもいいみたいだし、宝石を身につけている必要もなかったり……よく分かりませんでした。
人格と記憶以外にも、三人称視点の映像も記録できちゃうみたいなので、それら全部ひとまとめにエネルギー!ってことでなんでもアリなんだと思います。